資金繰りが厳しくなると、FAXが送られてくるようになる
今回の記事は資金繰りについてです。
この記事を特に読んでいただきたい方は「手形取引をしている人」「FAX金融を見たことがある人」です。
私も初めて知ったのですが、FAXで融資を勧誘して、手形を担保にお金を貸すことをシステム金融と言うそうです。
今回の記事は私が10年ほど前に会計事務所に勤めていたころに実際に経験した話です。
最近でもこういう類の話があるのかどうかは定かではありませんが、10年前は当たり前に行われていた違法行為でした。
私の担当先だった、建設業(土木)を営まれていたK組さんは、公共工事の減少に伴って売り上げが全盛期の3分の1まで低下していました。
売上が3分の1になれば、当然、資金繰りも厳しくなります。
社長は毎月会うたびに目の下にクマができ、ゲッソリしていきました。
そんな頃、私に「これはどうかね~?」「借りれるんだったら借りたいんだけど」と相談されたのが、このFAX金融でした。
手形を担保に貸し付けを行う業者さんからのFAXを私に見せながら、社長はすがるような眼をしていました。
会計事務所で10年キャリアを積んだ私は、こういう貸付があることを知っていました。
暴利なので、借りても返せなくなるのは目に見えています。
「社長、こんなの絶対借りちゃダメですよ」と何度も言い聞かせました。
しかし、やっぱり借りてしまったのです。
100万の手形を振り出して、振り込まれたお金は80万だったそうです。
それでも社長は「80万も借りれた」と異常な反応だったのを鮮明に覚えています。
振出日から3ヵ月で、20万の金利です。
年利に換算すると80%です(笑)
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その半年後には、突然、連絡がとれなくなる
それから何度か、この業者さんからお金を借りたと聞きました。
業者さんにとっては、カモですよね。
かれこれ半年ぐらいたったころでした。
会社に電話をしてもつながらなくなり、数日たったときに様子を見に行きました。
会社はもぬけの殻で、社長の自宅にも誰もいませんでした。
携帯電話にかけてもつながりませんでした。(止められていた)
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「夜逃げ」と言うやつです。
社長の相談役として、寄り添ってきたつもりでしたが、最後は何も力になれず、自分の無力さを責めました。
それから3年ぐらいたったころ、突然、社長から連絡がありました。
「申し訳なかった」という謝罪と「感謝している」と言っていただけました。
幸い仕事も見つかり、夫婦できついながらも幸せに暮らしていると再起した明るい声を聞かせてくださいました。
いまでは手形取引は少なくなり、資金調達の手段として使われることもなくなりました。(まだ残っているかもしれません)
これから起業する経営者は、約束手形なんてものが世の中にあることを知らないまま、会社を経営していくのでしょうね。
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