目標利益(当期利益)から目標経常利益と目標営業利益を算出する
まずは前期の決算書を手元に用意してください。
次に、目標とする利益を決めましょう。
ここでは当期利益を使います。当期利益とは税金を払ったあとで残る利益をいい、この利益をいくら残したいかを決めましょう
目標当期利益を決めるときの留意点
1、借入金の返済を加算する
例えば残したい利益が300万円だったとします。
銀行から運転資金を2,000万円借りており、毎月の返済額は元本返済が約24万円、利息が約2万円あるとします。
借金の元本返済は利益から支払わなければなりません。
来期の元本返済は年間で288万円(24万×12か月)あります。
来期目標とする利益が300万円だったら288万円を引くと、たった12万円しか残せないことになってしまいます。
純額で300万円を残したいのであれば、300万円+288万円(元本返済分)=合計588万円を目標利益としなければなりません。
2、減価償却は目標利益から引く
車や機械などの固定資産がある場合には、来期分の減価償却費を調べてみましょう。簡単なのは税理士さんに来期分の見積額を聞くのが早いです。
聞きにくい場合には、決算書の「販売費及び一般管理費の明細書」の中にありますので減価償却費を見つけてください。
例えば減価償却費が200万円あったとします。
この場合、純額で300万円の利益を残したいのであれば、300万円-200万円(減価償却分)=100万円を目標利益としましょう。
目標当期利益が決まったら目標経常利益と目標営業利益を逆算する
目標当期利益が決まったら、前期の決算書にある営業外費用と営業外収益を見つけて予算額を決めていきます。
営業外費用と営業外収益のなかで、今期大きく変動しそうなものがあれば、それを加味して予算額を決めましょう。
例えば新たに借入を行う予定で、利息の支払いが増加するなどです。
営業外費用と営業外収益の予算額が決まったら下記の計算式に当てはめて目標経常利益を計算しましょう。
①目標当期利益 ÷ 60% = 目標税引前当期利益
②目標税引前当期利益 + 今期起こりそうな突発費用 - 今期起こりそうな突発収益 = 目標経常利益
※予測できない場合はゼロで計算する
③目標経常利益 + 営業外費用 - 営業外収益 = 目標営業利益
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目標営業利益から目標粗利益(売上総利益)を算出する
次に前期の決算書から「販売費及び一般管理費の明細書」を見つけましょう。
ここには会社の1年間の経費が掲載されています。
この明細の中から今期大きく変動しそうな費用を予測して予算を決めていきます。
例えば、営業社員を1名増員する場合 ⇒ 人件費の予算を増加させる。
経費削減する場合は、削減できるであろう数字を予算としていきます。
全体の経費を見て予算額が決まったら、販売費及び一般管理費の予算合計金額を算出しましょう。
販売費及び一般管理費の予算額を決めるときの留意点
経費の予算額を決めるときには、ことこまかに決める必要はありません。
人件費や広告費など、大きな経費を重点的に見ていきましょう。
そのときに役に立つのが、「販売費及び一般管理費の明細書」の表示順です。
ここには重要な項目が上に、あまり重要ではない項目は下に表示されるようになっていますので、上の項目を重点的に予算決定していきましょう。
経費予算が決まったら目標粗利益(売上総利益)を逆算する
販売費及び一般管理費の予算額が決まったら、下記の計算式に当てはめて目標粗利益(売上総利益)を計算しましょう。
目標営業利益 + 販売費及び一般管理費の予算額 = 目標粗利益(売上総利益)
目標粗利益(売上総利益)から売上目標を算出する
目標粗利益が算出できたら、前期の決算書から粗利益率を計算していきます。
決算書の「損益計算書」の中にある、売上総利益と売上高を見つけて下記の計算式に当てはめて粗利益率を計算しましょう。
前期の売上総利益 ÷ 前期の売上高 × 100 = 粗利益率
粗利益率の留意点
粗利益率は毎年大きな変動はしにくい数値ですが、市場の変化によって変動する場合があります。
例えば、仕入が高騰しそうな場合や値引きしなければいけない場合は、上で計算した粗利益率を下げてください。
目標粗利益から売上目標を逆算する
いよいよ売上目標を逆算していきます。
市場変動等を考慮した粗利益率と目標粗利益(売上総利益)を使って、下記の計算式に当てはめて売上目標を計算しましょう。
目標粗利益 ÷ 粗利益率 × 100 = 売上目標
売上目標計算のおすすめ本
売上目標を利益から逆算するやり方の解説で、おすすめする本は「経営計画は1冊の手帳にまとめなさい:小山昇著」です。
利益から売上を逆算するというやり方は、もともと一倉定先生(いちくらさだむ)が考案されて全国に広まった経営計画立案の手法で、著者の小山昇さんも一倉塾で学ばれたそうです。
現役の社長が書いているだけに、社長の思考のツボがよくわかっていて”まずはやってみる”ことからスタートする行動派の社長に向いている本と言えます。
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